ヴェネツィアの巨匠たち

今年のヴェネツィア・ビエンナーレ国際美術展でのイタリア館とのパートナーシップを記念して、トッズは「アート・オブ・クラフツマンシップ | ヴェネツィアの巨匠たちによるプロジェクト」でクラフツマンシップの伝統とイタリアの専門的技能をたたえます。プロジェクトの主人公は、アイコニックなゴンミーニやトッズのサヴォアフェールを独自の美学やツール、そして熟練の技を通じて表現する、11名のヴェネツィア芸術工芸の巨匠たちです。芸術や美、知識、そして卓越した業を伝えるメッセージが、それぞれの作品に込められています。品質と伝統が互いに協力し、融合した本物の価値がそこにはあります。

ロベルト・ベルトラミ

ロベルト・ベルトラミは、若いながらも熟練のガラス職人です。彼が創設したウェーブ ムラーノ ガラスは、1850年まで遡る炉のあるムラーノ島に位置し、ムラーノでもきわめて経験豊富な10人のガラス職人を擁してします。
その革新的なアプローチは、アーティスト、デザイナー、建築家にとって、芸術的な唯一無二の作品を制作する際の基準となりました。そこには、ヴェネツィアの島で古くから受け継がれてきたガラス製造の伝統を受け継ぐという強い決意が込められています。ウェーブ ムラーノ ガラスを特徴づける絶え間ない革新により、今やムラーノで唯一のガラス工房として、インダストリー4.0基準に準拠し、環境への影響をいっそう低減する革新的なエネルギー回収システムを搭載したガラス溶解炉を備えています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、ロベルト・ベルトラミは、アイコニックなトッズのシューズ、ゴンミーニを実物大の吹きガラスで特別に制作しました。

セルジオ・ボルドリン

セルジオ・ボルドリンはヴェネツィア出身の熟練職人として、弟のマッシモ・ボルドリンとともに水の都で歴史ある2つの工房を経営しながら、コンメディア・デッラルテの登場人物をインスピレーションにした伝統的なカーニバルの仮面を制作しています。長きにわたり、演劇と映画の両方でコラボレーションを行ってきた彼は、スタンリー・キューブリック監督の映画『アイズ ワイド シャット』に登場する華々しい仮面を制作したことで注目を集めました。ボルドリンはイタリア国内外で作品の展示を行い、2018年にはMaster of Arts and Craftsを授与されました。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向けて、セルジオ・ボルドリンは、8点の仮面を制作しました。温かみのあるナチュラルな色調を特徴に、トッズのアイテムに使われるレザーから生まれたディテールやインサートをあしらっています。

フェデリカ・マランゴーニ

フェデリカ・マランゴーニはヴェネツィア出身のアーティスト兼デザイナーです。イタリア国内外でのキャリアを通して、さまざまな素材や技術的芸術領域の試行錯誤を行ってきました。専門的・文化的に明確な選択に従い、コミュニケーションのあらゆる分野を折衷的かつ総合的に探求するよう導かれた彼女は、彫刻という芸術の道とデザイナーとしての活動を結びつけてきました。1970年、ヴェネツィアにフェドラ スタジオ デザインという工房を設立し、同年、ガラス制作を始め、ムラーノガラスの多くの工房とコラボレーションを行いました。今日に至るまで、デザインオブジェやガラス彫刻をはじめ、映像やネオンの光をガラスの透明性や脆さと組み合わせた大型インスタレーションを制作し、現代アートシーンにおけるユニークな作品を発表しています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、フェデリカ・マランゴーニは、2つのアート作品を制作しました。屋外展示作品では、テセ・サン・クリストフォロのファサード正面に赤いネオンのコイルを設置。屋内展示作品では、中央の身廊に沿って走らせた高さ4メートルのワイヤーの導く先に、ネオンが輪郭を描くアイコニックなゴンミーニのソールを表現した3メートルの彫刻が姿を現します。

マリノ・メネガッツォ

マエストロ・マリノ・メネガッツォは、歴史あるヴェネツィアの職人工房、マリオ・ベルタ・バッティローロの現オーナーであり、イタリアとヨーロッパでは最後となった真の職人「バッティローロ」として、Master of Arts and Crafts(芸術工芸の巨匠)を授与されました。リアルト橋からすぐ近くの場所に1969年に設けられた工房では、1926年から続く家族の工芸が受け継がれています。
バッティローロは、イタリアでもきわめて古くからある伝統的クラフツマンシップのひとつで、歴史的な職人工房では、ゴールドやシルバー、その他貴金属が非常に薄い箔へと姿を変えます。マエストロ・メネガッツォが手がけた箔は、ミラノ大聖堂のマドンニーナ、ヴェネツィアのサン・マルコに建つ鐘楼の天使、ルルドの聖域にある聖母の冠と十字架の装飾に使用されています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、マリノ・メネガッツォは、彼が持つ「バッティローロ」技術の職人技と特色を活かし、アイコニックなゴンミーニとそのボックス全体を金箔で彩ります。

ジャンパオロ・ファラーニ

1968年、フィオレンツォ・ファラーニは、イタリアではまだ知られていなかった印刷技術を米国から持ち込み、シルクスクリーンプリントの工房をヴェネツィアにオープンしました。その後数十年間にわたり、世界的に有名なアーティストや現代アートの非凡な作家など、200名以上がその工房を訪れました。アイデアを試すことのできる創造力に富んだ環境において、フィオレンツォはそれぞれのアイデアを注意深く読み取りました。新しいデジタル技術の出現や息子ジャンパオロ・ファラーニのビジョンにより、事業は発展し、工房はグルッポファラーニという企業グループになりました。ヴェネツィアでは優れた技術を持った工房が、今なお世界中のアーティストやクリエーターにとっての安息地となっています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、ジャンパオロ・ファラーニは、トッズの職人が誇るツール、クラフツマンシップ、そして精度を、カラーのシルクスクリーンプリント技法を用いて解釈し、芸術的な作品を考案しました。

マッテオ・セグソ

マッテオ・セグソは、父であるマエストロ・ブルーノ・セグソの情熱を受け継ぎ、古くから伝わるエングレービングの芸術に精通するようになった、ムラーノでもきわめて才能のあるエングレービング職人の一人です。長きににわたり、国際的に名高いアーティストやデザイナーとコラボレーションを組み、真のデザイン作品を生み出してきました。その作品は世界中の多くのプライベートコレクションに収蔵され、Master of Arts and Craftsを授与されています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、マッテオ・セグソは、手作業で制作されたテーブルを再現しました。コンクリートの天板には不規則な形のガラスが散りばめられ、トッズの職人道具が、透明な実物大のエングレービングとして施されています。

ジュリアナ・ロンゴ

ヴェネツィア出身のアーティスト ジュリアナ・ロンゴは、帽子作りの技を極めた職人です。リアルトとサン・マルコの間に位置する彼女の工房はイタリアの歴史的名所として知られています。工房にはあらゆる種類のヘッドウェアがあり、ストローやファブリック素材のハットから、ゴンドラの船頭がかぶる伝統的なハットまで、すべての作品はオーダーメイドとして手作業で制作されます。ヴェネツィアの優れた職人に贈られる賞「The Blue Artisan(ザ ブルー アルチザン)」を受賞したジュリアナは、1901年から続く家族の職人技を継承し、独自の貴重な知識を守っています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、ジュリアナ・ロンゴは、天然のリュウゼツラン繊維による帽子の彫刻を制作しました。それぞれ長さ3.5メートルにおよぶメタルの中心部が、らせん状の動きを作り上げています。リュウゼツラン繊維の中にあしらわれた小さな麻のディテールが、トッズのフットウェアを象徴するアイコニックなラバーペブルを思わせます。

ロムアルド・メスダー&アレッサンドラ・ディ・ジェンナーロ アルテファクト

アレッサンドラ・ディ・ジェンナーロとロムアルド・メスダーの出会いは、格式高いフリウリ モザイク学校でした。モザイク職人として専門技術を習得し、卒業した彼らは、アルテファクト モザイク スタジオを設立。ヴェネツィアの工房では、イタリアンモザイクや現代アート作品を手作業で制作しています。最高品質を実現する伝統を受け継いだ作品は、クラフツマンシップという価値観や美の追求から生まれます。上質なムラーノガラスや世界中から厳選された大理石を使用することで、ユニークな芸術作品を作り上げています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、アレッサンドラ・ディ・ジェンナーロとロムアルド・メスダーは、モザイクの技法を用いて、アイコニックなゴンミーニの特別なソールを制作しました。特徴的なラバーペブルを作るモザイクタイルは、ハニカムパターンのパネルに取り付けられています。タイルを収納する引き出しが付いた木製の壁が、アート作品を縁取っています。

ルチオ・ブバッコ

ムラーノに生まれたルチオ・ブバッコは、有名な熟練のガラス職人である父セベリーノ・ブバッコのもとでガラス工芸に打ち込みました。青春時代から工芸に対する情熱を抱いていた彼は、オキシプロパンの炎でガラス棒を熱することにより、想像力豊かで多面的なクリエイティビティが特徴的な作品を生み出す、伝統的なヴェネツィアのランプワーク技法に傾倒していきました。現在、Master of Arts and Craftsの称号を授与された彼は、この技法を芸術表現に用いる数少ない職人の一人です。その作品は、世界中の重要なプライベートコレクションおよびパブリックコレクションに展示されています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、ルチオ・ブバッコは、人の顔を淡いアンバーカラーやそのニュアンスで描き出した特別な彫刻を制作しました。
一筋のガラスがしなやかに絡み合い、フットウェアや道具が置かれたテーブルを傍らに、針を手にした職人の姿を形作っています。

セバスティアーノ・ルナルデッリ

ヴェネツィアで生まれたセバスティアーノ・ルナルデッリは、木々への愛情、驚くべき手先の器用さ、そしてクラフツマンシップへの情熱を父から受け継いでいます。歴史ある家族の会社で長年働いた後、2018年、妹のアニェーゼとともにルナルデッリ ヴェネツィアを創設しました。彼が手がける傑作では、地元の伝統的な素材を使った革新的な製作技法を探求しています。採用される木材やムラーノガラス、ファブリックは、「カ・ペーザロ」にあるオーク製のスツールやベンチなど、水の都を特徴づける建築要素と密接に結びついています。彼はMaster of Arts and Craftsの称号を授与されています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、セバスティアーノ・ルナルデッリは、カナレットウォールナット材とわら紙を使用し、レザーのディテールをあしらった180cmのランプを制作しました。

サヴェリオ・パストール&ピエロ・ドリ

フォルコラとは、ヴェネツィアのボートで使われる特徴的なカーブと傾斜を持つ道具です。サヴェリオ・パストールとピエロ・ドリの2人は、「レメール」オールの熟練職人です。 2002年、サヴェリオ・パストールは工房「ル・フォルコレ」をヴェネツィアにオープンし、伝統的な道具を作業用具から無数の形を持つ驚くべき彫刻へと変貌させました。現在はMaster of Arts and Craftsの称号を授与され、水の都の伝統を守りながらもユニークな作品を生み出しています。

2013年に工房をオープンしたピエロ・ドリは、近隣のサンタ ソフィアのゴンドラの船頭やローイング競技者、街でボートを漕ぐ人のためにオールやフォルコラを製作し、ヴェネツィアの暮らしを見て体験する新たな方法として、ボートを漕ぐことを提案しています。

「アート・オブ・クラフツマンシップ」プロジェクトに向け、 サヴェリオ・パストールは、フォルコラのアームに置かれた針のような形の木製のオールを制作しました。針から出るレザーの糸が、レザーで覆われた実物大のゴンドラの輪郭を描き出しています。
ピエロ・ドリは、様式化された手のようなアームで形作った木製のフォルコラを制作しました。